( néant )

消費期限切れの言葉たち

生きるとか、死ぬとか、家族とか。

 

三十一歳、独身、実家暮らし。

そんな僕に友達らはよくこう言う。

『実家暮らしっていいな〜』と。

 

その言葉には、ご飯も作られていて、洗濯等も自分でしなくていい。的なニュアンスが要約されていると僕は思う。

 

けれども正直それは人によるだろう。

僕はご飯を作るし、買い出しに行くし、洗濯だって担当である。

それらを経験したせいか、主婦(夫)の大変さが身に染みて分かっているつもりだ。

 

たしかに実家にいる方が、楽なことはあるだろう。だけど、そういう人ほど実家に戻ったら戻ったで直ぐに出たくなると思う。

 

 

家族は家族。

血の繋がりがあるから通じあえてるわけではない。

家族に限らず、人との関係には距離感が大事だと思う。

実家にいれば、距離を測らないとぶつかってしまうし、仲がよくても嫌なところばかり目についたりする。

 

正直、僕が10代以来に精神的に体調崩し通院するきっかけはこの家の中でことや家族との関係性にあったと思う。

 

両親はそんなこと知らないだろうが、

両親も僕も人間だから気分はあるし、性格も違う。そんな中で、波長が狂いだしたりして、僕が変に気を遣いすぎたり嫌なとこに目がいってイライラしたりしてたぶんぶっ壊れたのだ。

 

僕達家族は仲が良いほうだとおもう。

言い合うこともないし、普通にしていれば

どこにでもあるような家族像だと思う。

でも僕は実家にいるから、自分の気分や波長を考えながら接したりあるいは距離を置いたりしないとまた壊れてしまいかねないのだ。

 

僕には姉が二人いる。

二人は結婚して子供も三人ずつ育てている。

一人は直ぐ隣に住んでいて、もう一人も車で5分ほどのところに住んでいる。

彼女達や甥っ子姪っ子、義兄とも特にいざこざもなく普通に仲が良いと思う。

 

でも、僕の中で言わないだけで心に留めている不平不満はいくらでもある。

なぜなら、彼女達は結婚や子育てをいい機に子守させたい時だけ顔を出したり、野菜等をもらう時だけ顔を出したりして、両親とずっと一緒にいるわけじゃないのだ。

だからこそぶつかることもないし、嫌なとこ見るわけじゃないから仲が当然良い。

 

僕の不満を知るよしもない。

僕が昔から精神的に病んでいたからか、

両親も姉らも僕のことをよくわからないだろうし

なぜイライラしたり不機嫌なのかもただの気分だと思われているだろう。

 

すべて積み重ねて重荷になってる場合もあるだろうに。

 

実家にいればいるだけ問題はあるし、

一人暮らしや離れて暮らしても問題はあるし、どちらが良いとか言えるもんじゃないと思うのだ。

 

不機嫌になったり気持ちをコントロール出来ず抑えられずにいる自分自身にも腹が立つし、

両親に少し当たったりしたあとに一人になって落ち着きながら一気に押し寄せる罪悪感にも押し潰されそうだ。

 

憎いわけじゃないし、嫌いなわけじゃない。

むしろ仲が良い方だし、愛されて大事に育てられてきたと痛感しているからこそ余計に押し潰されてしまう。

 

両親も歳だし、これから老いる一方で

介護や認知症もあるかもしれないわけで。

核家族だけに孤独死や介護疲れも一気に増えると思う。

 

コロナをきっかけにより人と人が接しなくても暮らしていける世の中に変容してきて、お一人様が楽で過ごしやすくなったけどもその先に待っているのは孤独死の連鎖だと思う。

 

 

部屋に戻って落ち着いたら

少しばかり楽になって書き連ねることも難儀になってきた。

 

出来損ない息子でごめんである。

不機嫌やイライラして当たったり、うまく伝えられないけど、嫌いではないのだ。

家族だからこそ、届かない届けられない想いがあるのだ。

 

 

ありがとう。

お願いだから、無理かもしれないが

僕より長生きしておくれ、僕はあなた達の死に際を見ていたくない。きっと絶望と後悔だけを彷徨ってしまうから。

だから、長生きしておくれ、孫とたくさん遊び笑っておくれ。

僕のことは気にしなくて良いから、

僕のせいで我慢しないでおくれ。

たくさん愛はもらったから、

今度はたくさん与えたいと思っている。

ありがとう。

 

生きるとか死ぬとか父親とか

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