コーヒーが冷めないうちに。 万年アイスコーヒーなんだけどどうする？
コーヒーが冷めないうちに飲み干すのは一苦労である。
僕は猫舌だし、春夏秋冬アイスコーヒーしか飲まないからである。
台風がやってくる
目ん玉がすごく大きくて笑ってしまう
他所では脅威でしかないから不謹慎だが
ここでは台風なんてお家芸でうんざりって軽はずみな気持ちしかない。
台風はすきじゃないのだが
台風前の空はすきだ
紅く、そして紫がかった夕日。
本当にやってくるんだなと思ふ
そして、風は強く雨で空は荒れる。
昼間なのにどんよりして、重たい
灰色な雲が全てを飲み込むように重たい
いっそのこと、なにも残さず飲み込んでよと思うがそうもいかない。
雨風に流れを任せる訳にもいかない。
きっと、飛ばすだけ飛ばして置いてけぼりだろうから。
映画を観た。
特に観たかったわけでもないから期待すらせずに行った。
プーさんのときと同じ。
いつもと違うことをしたら面白いかな。と思って。退屈も極めれば行動になるみたい。
チュロスが食べたいだけなのは恥ずかしいからあまり言いたくないけども。
コーヒーがすきなのと過去と聞いたらこれは観ないとなって思って。
4回泣ける。みたいな口説き文句は無視して観に行ったから、すごく心穏やかに観れた気がする。
僕みたいのが4回も泣けるわけないし、涙はほおどころか下瞼にさえ溜まってくれない。
前にいたおばさんはグスグス鳴らしてたけども。
きっとそれだけ僕はなにも経験してることがなくって浅くてつまらない冴えない者だと痛感させられる教訓映画となった。
普通に面白いが普通だ。
泣けはしない。4回あくびはしたけど。
過去に戻れるか、戻りたいやり直したいって思うことは僕にだってあったけど
そんなのとっくの昔に捨てた。
捨てたというかやり直したいって思いがない。
やり直せたとしても結局同じ位置に戻る気がするから。
この映画内容で良い点と悪い点は
やり直せないというルール。
やりなせない事で踏ん切りがつけるし、ファンタジーだけどちょっと現実的。
過去はやりなせないのだけどあなたが変われば未来も変えることができる。という何時ぞやから知ってるわんな事ってくらい自己啓発的な発想。
よって、4回泣けた後はリア充物語である。
リア充しか出てこない。羨ましい
そして僕は思う。
今この瞬間、ここで一緒に映画を観て泣いた人は普通で、常識で、素晴らしい人達なのだろうってね。皮肉じゃなく割と素直に思う。
僕が唾を吐くようなパリピらが実はまともでマシなのでは？と思ったときと同じ気持ちになる。
僕はもう何年も泣いていない。
泣きたいくらい悲しいこともあったはずなのに涙がでてきやしない。
でも許せない。なにがって。
涙を流すことで感動も歓喜も悲劇も全部誇張される点が許せない。
涙の二割増ダメ、絶対、許さない。
映画館は苦手だから
1番後ろの壁側に陣取る
誰もこないでと殺し屋みたいな顔でアピールするが普通に近くにやってくる
カップルを観てどうせこの後交尾するんでしょう。なぜきた。
なぜ、ぶつかり稽古の合間に映画挟む。
ああ、そうか
この映画は最終的に今一緒にいる人を大事にしましょう的なスタンスだから
この後、熱い抱擁に磨きがかるわけってことか
近くは嫌だよ〜気になるじゃん〜
一チュロスごとに音たてたらどうしようとか
腰痛いって座り心地悪すぎ映画館の椅子によって態勢整えるたびに音たてたら〜あああ
あと、本日飯食ってないからって中盤からお腹鳴り出してね、恥ずかしい〜〜
しかもよりによって、BGMがかかるシーンとかじゃなくて、静かな会話もゆっくり長回しのときだけお腹なりやがる〜
手元のアイスティー無糖じゃ効果ないけど飲むかーって慎重に飲んだときだけ食道とは違う場所に入った感じになり咳き込みそうなる〜
こんな感じだから映画館向いてない
こんなことばっか思うから
一人で映画館にチュロス食べにくる人生になるんだな。それでもいい。
一緒にいる人を大切にしようと思ってもそれは押しつけてはいけないものだし、こちら側の片思いだとしたら伝わらないのだから。
大事や大切は結局、好きな人に限る
もうこの世の中、好きな人に限るで回れば分かりやすいのだけど。
映画を観て、サンマルクに行く。
理由はクロワッサン。一択。
あと最短ルートでも映画館から近かっただけだ。
パンはすきじゃないが、クロワッサンはすき。
名前がいい。クロワッサン。
確か、フランス語かなんかで三日月って意味だったはずだが、フランスかは知らない。
クロワッサンって名前がすでにいい。
息子ができたらクロワにしよう。
必然的にクロワさぁん〜ってなりそうだし、
月がきれいですね。って言葉も出回りすぎて飽きてきたし、サブカル扱いされたくないから。
新しくしたい。
- 月がきれいですね
- あら、ほんとね
- クロワッサンみたいだね
- 三日月だから？お腹すいてるだけじゃない？
- よく知ってるね。ほら、外はこんがり中はふわっとしてそうだよ
- あなたばかよね。
- そうかな、今度食べに行こうよ、クロワッサン
- 誘い方まで不器用よね、行こう、クロワッサン食べにね
ってな感じでゆるく話せる女の子が欲しい。
大事なのは、ばかよねって愛を詰めて欲しいとこ。欲しいのはバターじゃないよ、愛だよ。
足早に屋上駐車場に向かって
車に乗り込む頃にはさっきまでの雨風がフライングしたように強くなってて気持ちもどんよりしてきた。
すきな映画はたいていサントラもいいので、それを聴きながら帰るのがすきだけど。
ランダムにした。YUKIは別に嫌いではないけど。
ランダムにするとよりによって
グレイテストショーマンがかかる。
そうだ、そうだと思いだす帰路。
この映画こそ映画館で観るべきだったと
この映画を好きだった人と映画館で観るはずだったことを思いだす帰路。
よりによって彼女の家の近くに映画館はあって、助手席に乗せてここを走ったなんて思い出す帰路。
映画はカップルで観た方がいいと彼女と来れなかったことを悔やむかのように思いが強くなる。それだけで楽しかったのだろう。
僕が羨んでみた今日のカップル達のようだったんだろう。
でもそれは実現しなかった。
そして、今一緒にいることもない。
やっぱり本気ですべて飲み込んでくれないかなとワイパー越しに空を眺めた。
冷めないうちに、いいや、最初から冷めたコーヒーを飲み干した。
僕は今過去に戻りたいだろうか？
過去に戻ってやり直したいか？
やっぱり答えはNOだ。 烏滸がましい。
たしかに、過去に戻って言えなかった言いたいことはたくさんある。
でもきっとね、きっと。
これを言おうって考えて過去に戻っても、
本当に言いたかったことなんて出てこないだろうし、それどころかまた顔をみれたことだけで喜んでしまうだろう
言おうと思ったことはいつもアフレコのまま
アフレコなんていつでも作れるのだ
彼女を前にして、その瞬間毎に生まれる言葉は全く違う。だからアドリブに任せるだろう。
そして、また現実に戻って悔やむんだろう
でもいいんだよ、だってそれが人生だもの
後悔無くして、人は愛せないはずだから。
僕は変わる気はまったくない
変わってまで、僕が僕を裏切ってまで幸せを掴もうとは思わない。
扱いにくくていい、不器用でいい、愛を笑って吐き散らせてもいい。
僕は、たったひとつ、たった一瞬、過去となっても現実に戻されても
彼女を好きでいられたこと、好きになれたことがうれしいし、自分を誇りたいと思う
コーヒーが冷めないうちに。のみほして
現実に戻れたとしても彼女はもういない
コーヒーが冷めないうちに。のみほせず
過去な囚われたままでも彼女はもういない
過去も現在も未来もうんざりだよ
僕はずっと生きている、生きてきたはず
忘れられないよう、忘れないよう
どうだっていい、時間に勝てっこない
僕が過去に戻っても、やり直さない
きっと同じ結果になるだけだから。
彼女の顔を見ると心が揺らぐだけだから。
ただね、ただ、
僕がすべてを引きずってるのはやり直したいからではない。
僕は喜怒哀楽をすべて覚えていたいからだ
苦しい悲しい、でも嬉しい、楽しかった。
そんな思い出をたしかに存在していたことを自然のままに覚えていたい
記憶は操作されてしまうし、美化できてしまうだろう。
どう抗っても少しずつ変わって行くだろう
だけども、僕は彼女じゃない違う誰かを好きになって、幸せになったとして、その時にふと思い出して、あんな時もあったなと苦笑いしたくない。
あんな時もこんな時も一緒に抱えて生きていきたい。
だから僕は忘れないように引きずる
過去を抱え込んで生きる
コーヒーを飲んで戻るくらいなら
コーヒーを誘って今彼女に会いたい
会いたいと思うだけでいいのだよ
ばかだなあっておもうよ
ほんとね
そんなこと考えて帰路について
車中ではもっと綺麗にまとめられてたけど
書くとなったらこうだから
僕の頭の中は意地悪だなあ
自分の映画を思い出すことができたから
いい映画なんだろうな
キーワード的には
後悔をしないように今を変えて生きても
後悔するかしないかなんて未来のことだからわかんないのにね
後悔ね
彼女と出会ったこと
彼女を好きになったこと
彼女とあそんだこと
彼女と離れたこと
全部振り返れば後悔でしかないのにね
結局ハッピーエンドじゃなければ
みんな後悔になるのだろうね
でもなかったら嫌だと思うんだ
彼女と出会ったこと
彼女を好きになったこと
彼女とあそんだこと
彼女と離れたこと
うん、やっぱり嫌だなあ
やっぱり後悔無くして、人は愛せないね
バタフライエフェクトみたいに
過去に戻って選択を変えて
未来を変えてしまうとして
それが、いい人生だとしても
選択を変えたことで彼女に出会えなかったと思うと、やっぱり悲しいし退屈なんだ
あのときこの道を選んでたら
今みたいに苦痛もなかったかもしれない
でも、あのとき今に至る道を選んで苦痛を浴びまくってしまったけども、今ここにいる道を選んだおかげで出会うことができた
それで出会えなかった人もいるはずだけどね。
僕は彼女と出会えただけで
嬉しい物だとおもえる。
そう考えると
心に優しくなれるし、ちょっとほっこりできるかも。
運命とは言わないが神秘的な物だと思う。
コーヒーを飲みにいきたいな、一緒にコーヒーを囲みたいな
それだけでいいんだから
それだけで戻る必要も進む必要もないのだから
