( néant )

消費期限切れの言葉たち

海街diaryに惑わされる

 

海街diaryを観た。

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是枝裕和監督は空気人形が元々好きだけど。

やっぱりよかった。何が良かったと聞かれたら。

特にどんでん返しがあるわけじゃないから何も返せないけど。

 

何の変哲も無い日常風景こそ、ゆるやかな幸せなのかなと美化した。

美化したというか、あの風景が好きだ。

調べたら鎌倉だという。

僕は鎌倉に行ったことこそないけど、神奈川県とだけ聴くと都会を真っ先にイメージしてしまう典型的な田舎者だ。

関東と括れれば全部都会に思える悪い癖もある。

しかし、海街diaryをみると都会の中にもあのような街が。。。と驚愕した。

素晴らしかった。

 

でも、やっぱり。都会だ。ずっと都会。

個人的な事情でなおさら鎌倉という文字に敏感。

 

 

思い出したくない思いでこそ、ずっと頭の中にこびりつくガムのようで

なかなか取れやしない。取れたと思っていても、微々ながらまだこびりついている跡形を見て、きっと僕は取ることを諦める。この前も、今日も。これからも・・・

 

思い出したくない。という負の感覚が強いと、より一層思い出は心底に向かって行き余計に忘れられないのだろう。 意識しているのだから。

 

では、意識しないようにすればいい。と頷いては、やり直す。またやり直す。

出来やしない。僕には何も無くて、誰も居なくて、愛していた人は・・・

 

ずっと待っていた。ずっと。ずっと。ずっと。

ずっと忘れたい思い出が忘れられる日を、そんな思い出を思い出す事すら忘れてしまうそんな日を。

 

時間に頼った。時間はとても強くて、とても残酷だ。

待ってはくれないのだし、ランダムに嬉しいことも悲しいことも全部奪い去ってゆく。

無差別的だけども、それにしか頼ることができない。

 

簡単に消せる思い出なら、簡単にまた繰り返せるだろう。

簡単じゃない思い出ほど、いやらしいくらい後を引く。

 

僕はクズで、どうしようもないクズなのだけれど。

今振り返ると、人を愛せて人を嫌うことが出来る事にすごく魅了されてるというか

すごく神秘的な感じがするんですよね。神々しいけども、人間臭いというか。

同じ人間で種別的には同類なのにもかかわらず、好き嫌いで判別できて、出会うことない人間がそこでもう生まれてて、すれ違ってもすれ違った事すら知らない人生をお互いに歩んでるって素晴らしいなって思うわけです。

 

冷めた自分もいる一方で、冷めた自分を強がってるだけの自分もいて。

でも、どうしようもなくて、誰に委ねるのかも、誰にぶつかるのかも分からなくて。

 

ずっと一匹狼ぶって生きてきました。

25年目、まだ一匹狼ぶっているつもりですが、鋭い牙はもう亡くなったみたいです。

 

10代の時じゃ、あるだけでるだけの言葉を延々とノートに書き留められたし

言葉なんか消えなかったのに。

今じゃ、浮かぶ言葉も知れたもので、周りに目を気にして、周りの考えに耳を傾けたつもりで、鵜呑みするのは自分への諦めだったりしてね。

 

 

月が沈む度に、思うのです。

自分には本当に何も無くて、本当に何もなくて。

どうしようもないんじゃないか。って自信が喪失していくのです。

 

朝日が上る度に、思うのです。

自分にはもしかしたら何かあって、ほんの一部でも何かあるかも。

どうしようもないことないかも。ってちょっとだけ希望を持とうとするのです。

 

 

くだらないよ。いつまでもくだらない。

無駄言並べて並べて。ほら、綺麗でしょう。生きるって素晴らしいよ。って言わんばかり。

オナニーと変わらないじゃないか。

セックスな言葉を紡いだのっていつだっけ。あったっけ。

愛し合ってたっけ。愛したかったっけ。

 

愛していた。そう、思うのっていつも終わった後だ。

トラジェディが好きなのだろうけど。

ずっと後を引く思い出に浸かりたいだけだろう。

きっと。ずっと。

 

でも、思うんだ。

終わらなくていい思い出があるのなら、それを見ていたいし、見れる努力をしていたい。って。

終わりがあると分からなければどんなに楽だろうか。と

永遠なんて無いものだ。と囁いてくるもう一人の自分を押し殺せられば。と

 

未来は分からないと人はいうけど

そうだろうか。

終わる未来は分かることもあるだろう。

 

分かりたか無いよ。分かりたか。抗いたいよ。そんな光も闇も、悩みも、ドアも

 

僕は永遠なんて無いのだ。という偏ったオナニズム的思考ゆえ

ちゃんと向き合う事を避けてきた。

彼女もちゃんと作ったことが無かった。

一夜限りの肌を慰め合うだけで良いと思っていた。

 

でも、ちゃんと彼女を作ってしまった。

今となっては 「作ってしまった…」という表現がふさわしくなる。

なぜなら別れたからだ。もう半年以上経つ。

だけども、クズだからずっと女々しいままだ。

今でも思い出す。ふとした瞬間って綺麗なもんじゃない。

連夜思い出す。そして悔やむ。嘆く。ばかみたいにバタフライ・エフェクトをスライドさせる。

 

あの時、こう言ってれば。

あの時、握った手をそのまま離さずに朝を迎えていたら。

あの時、好き。とちゃんと目を見て伝えていたら。

あの時、優しさが彼女にとっては苦痛だったら。

あの時、そもそも僕らが出会わなかったなら。

そうやって幾多の過去を蘇らせては眠れない夜を眠らない夜に変える。

そう、終わってしまったから。

ずっとわかりきっていた、永遠なんて無い。を痛感したから。

分かっていたこと。分かっていたことだから、最初は簡単だった。

そんなもんだろうと冷めた自分をこんにちはさせれば済んだ事だった。

 

馬鹿みたい自分が全部悪かったと自分のせいにして、

彼女を幸せに出来るのは自分じゃない、他の誰かだ。とか

吹っ切ったように見えたキレイ事はただただ自分を慰める言葉にしか過ぎない。

 

でも楽だった。

そうするしかなかった。

仕方ない。とそう思えば楽だった。

癒えると思っていた。でも違った。

それは、慰めのように見えて、傷口をひろげていただけだった。

 

終わらない嘆きはいつしかエンディングを迎える。

ようやく、落ち着いた。

そう思ったら、必ず、Oasisが流れてくる。

エンデイングだ。

仕方なかったんだよね。どうすることもできなかったんだよね。

永遠なんて無いもの。

そう言い聞かせて眠る。 

もう眠る。ぐるぐる眠る。

 

続きは次だ。

いやでも思い出されるのから。

見たくなくても、目に入ってしまうデジタル社会なのだから。

世界は広くとも、ネットは狭いもの。