( néant )

消費期限切れの言葉たち

黒歴史を弁護したい

黒歴史という言葉がある。

目を覆いたくなるほど恥ずかしい過去のことを指したりするらしい。

恥ずかしいは赤面なのだから

赤歴史じゃダメなのかしら

たわ言はそこそこにして

 

 

僕の人生はといえば

常に黒歴史と共にあった気がする。

ブラックホールに住んでいた、と言えれば

2割はかっこよくても8割はダサいから締まらないのだけどね。

あ、ブラックホールだけにネ。

 

 

今現在も黒歴史を刻み続けているけども

今よりももっと恥ずかしい過去のことを

黒歴史というならば

掘れば掘るだけ出てくる気がする。

 

僕が知らない言葉たくさん知っていて

素敵な感受性をもった女性が

10代のときに綴っていたブログを教えてくれた。

過去の彼女の言葉に触れるたび

何処と無く懐かしい匂いがした

彼女が過去を教えてくれたのは

僕に少なからず似ている部分があると思ったからだろうし、

僕が懐かしい匂いを感じたのもやっぱり共通する過去だったからだろう。

 

タイムトラベルでもしたくなって

脳内は既に遡れるだけ巡ってて

僕自身の過去を見つめ直してみたくなった

それは、僕が現実逃避混じりで

独り映画に没頭するようないつもの感覚ではなくて

知りたくて感じたくて旅をするようなポジティブなものだった。

彼女のブログ、彼女の言葉に触れたおかげで

闇に葬り去った過去の言葉達を迎えたくなった。

 

 

黒歴史は承知なんだけど

赤面して笑って誤魔化すしかないと分かっていながらも

僕が綴った現存する中で最古の7年前に作ったブログを開いてみた。

 

もう存在自体も忘れていたブログを見て

案の定、直視するにはこっぱずかしくて

一人で眺めているにも関わらず

笑わずには対処できないほど陳腐で

目を覆いたくなるのだけども

 

眺めてるうちに、

今までと違った感情が湧いてきた。

 

言葉遣いの違い、言葉運びの違い

言葉の気分や表情の変化をひしひしと感じた。

 

黒歴史なんだけども

恥ずかしくて赤面には変わらないのだけども

懐かしくて、我が子の成長を見守る親の目線のように言葉を撫でてみた。

 

 

もう二度と戻れない手に入らない景色がそこには確かに存在していた。

あの頃、あの時でしか感じられなかった事。

あの頃、あの時でしか綴れなかった言葉達。

 

そう思えば思うほど

赤面するような黒歴史

これも自分だと、胸を張って、進んで人に紹介したいものとまではいかないけども

自分の生きた証だと、自分の歴史だと、

大切に、大事に、受け入れる事が出来た。

 

これも歳を重ねたからなのだろうか

少し前までならきっと開かずの間で

開ける必要も、開けない理由もなくて

記憶の片隅にも残らない絵空事だっただろう

 

若さや勢いを痛いほど感じた

とにかく誰かに見てもらいたい一心で装飾した文字列におつかれさんと言ってあげたくなった。

ほとんど今と変わらないことを綴ってる自分の成長しなさには開いた口も塞がらないが

それでも、あの頃の僕はちゃんと生きていた。

 

悲しいことも、苦しいことも

真っ向から受け止めて

楽しいことも、嬉しいこともまた然り

 

あの頃の僕が

今の僕を見ると

なんて言うだろうか

参ったな、と言葉を失うだろうか

 

あの頃みたいに

ロマンチックに愛を語れよ

愛を忘れるなよとでも言ってくれるだろうか

 

好きという単純でも一番重要なことに

冷めたツラするなよと言ってくれるだろうか

 

 

黒歴史黒歴史には変わりない

自慢出来ることや頑張ったこともない

それでも、あの頃の僕が紡いだ言葉を拾い集めて咀嚼するたびに

あの頃の僕に少しばかり嫉妬した。

 

なんだか、かわいかった

なんだか、愛おしかった

 

僕は僕でしかない

何者にもなれない

 

好き嫌いがあって

好きも嫌いも分かれるタイプだろう

 

このまま闇に葬り去ったまま

死んでゆく言葉を蘇らせても

何も変わらない。

それでもいいのだ。

 

僕が僕をポジティブに受け入れることができたから。

すこしだけ、すこしだけでも

自分に優しくなれただけ

それだけでいい。

 

 

いつ、どこでも、ネットが繋がってたら

直ぐにでも発信できる時代。

想いをぶつけるには綴るには

ツールはありふれている

自分を承認してもらうには

特技や長所なんかは必要なくて

学歴や職歴どうこうも必要ない

 

繋がるか繋がらないかで

殴り書きした未完成の愛を語っても自由

便利だけど、その節々の気持ちを言葉にしてもデータとなる

データは気分や衝動で3ステップで消去できる

すべてなかったことにして、

すべて友達もゼロにできる。

 

言い訳も必要なくて

口実も必要なくって

 

悔しいほど簡単に

消し去ることが

僕らにはできる

 

 

だけども、

昔の自分に触れて

昔の自分に嫉妬したように

簡単に消せる時代だからこそ

綴ることの大切さを痛感した

 

誰かに向ける必要もない

誰もが見るから正解でもない

 

僕は僕でしかない

いまさら腐った性根を耕し肥料を巻いたところで、水をあげる努力はしないと思う

180度変えて好かれる人間になろうと思うことすらない

 

ペンを持ってノートに殴り書きして生きるようになったあの日から

僕には言葉しかなかった

言葉に傷ついて、言葉に救われる矛盾さを知りつつも、僕には言葉を紡ぐしか自分を護る方法を知らなかった。

 

 

見た目を褒められることはほとんどないに等しいけども

優しいだとか、いい人だとか面白いとか思いつくだけの称賛よりも

 

僕が紡いだ言葉を読んで汲み取って感じてくれた人がいてくれる事が一番嬉しい。

それ以下もそれ以上もないけども、言葉に触れて僕を知ろうとしてくれた人達を僕は忘れたくない。

 

なにもない、空っぽの僕から

その人たちが絞りだした言葉だから。

 

 

ノートから、ミクシィアメブロ

そして、今はここにやってきた。

言葉を紡ぐことしかできなかったのに

その言葉を消してしまった

今は思い出すことすらできない

若かりし頃の叫びや希望、

今より恥ずかしいポエムだったりと

 

もう戻れない、戻せない時間を

再現することもできない言葉を

記憶も記録にも残すことを選ばなかったことを後悔している。

 

だからもうなにも消さないと思う

醜態であれ、赤面であれ

僕が勝手に綴った文だけども

その文は誰かと一緒にいた証だったりする

一人で生きているように思えるけど

誰かを思い、誰かといて感じたことが

言葉になるのだから

 

 

黒歴史も人生の一部

歴史には変わりない

歴史は変えられない

時計の針は戻らない

あの頃も、あの瞬間も

ならば、未来を変えよう

 

なんて、

本棚に並んだありふれた売り文句は言わないよ

 

僕は黒歴史いっぱいの言葉を反芻して

今を大切にすることしかできないから

 

今、

同じ時間を共有している人。

今、

目の前で僕を見ながら話す人。

今、

僕が笑い、君が笑っているとき。

今、

僕が触れ、君が握り返した掌がまだ暖かいうち。

 

愛すべき人を愛して

生を全うしたい

生きるか死ぬかじゃなく

生きるも死ぬでもどっちでもいい

 

人が生まれながらにして

一番必要なこと

一番必要で一番単純なこと、

一番こっぱずかしくて、

一番そっぽ向いてしまいたいこと、

一番続けることが難しいことを

僕はただただ全うしたい

 

誰かを愛して、誰かに愛されたいから

戯言虚言御託だろうと

紡ぎ続ける

自分を愛せなくても、自分の一部ならまだ容易いから

僕は僕の言葉を少しずつ理解して愛したい

 

別れてしまった人

今も繋がっている人

 

あなた達が、唯一褒めてくれた

黒歴史だからさ

あなた達が、唯一褒めてくれたからって

また調子乗ってさ

これも黒歴史になっちゃうのかな

 

いいさ、死ぬ前に伝記を書いて仕舞えば

これも、歴史で美談になるだろう?